映画「ロケット・マン」を見てきたよ
先日、友人に誘われて映画「ロケットマン」を見てきました。
ミュージシャンであるエルトン・ジョンの半生記です。
記事はネタバレを含みます――が、ほとんど実話なのでエルトン・ジョンの半生とホロスコープについて書くと自動的にネタバレになっちゃうなという感じです。
そしてネタバレしてても映画自体は楽しめると思います。
映画はカウンセリングルームのようなところに、エルトン・ジョンがステージ衣装のまま入っていくところから始まります。
子供の頃からのことをひとつひとつ思い出し、語っていくことでストーリーが展開していきます。
時折ミュージカルシーンをはさみながら進んでいきますが、そうすることで流れるように時間が進んでいき、そしてミュージカル仕立てになっていることによって、「エルトンが認識している世界観はこんなふうになっていたのだ」と思わせる表現になっていました。
なので、ミュージカルシーンがぜんぜんわざとらしくありません。
この映画の魅力は?
この映画の魅力は演出のたくみさと役者さんたちのうまさでしょうか。
エルトン役のタロン・エガートン(タロン・エジャトン)は吹き替え無しで本人が歌っています。
ミュージカルシーンが多いだけあって、どの役者さんたちも半端ない歌唱力。
朴念仁のようなエルトンのお父さんですら、美声で歌い上げるのでびっくりです。
あとエルトンの幼少期役の子役の子がすごかったなぁ~
またこの映画はエルトンの半生記ということもあって、子供時代を除いても、20歳そこそこの青年時代から、物語が終わる40代なかばまでを一人の役者が演じています。
エルトン役のタロン・エガートンもそうですが、デビュー前から歌詞をつけていたバーニー・トーピン役のジェイミー・ベルも年齢を重ねていく表現がすばらしかった。
それとジェイミー・ベルという人はたぶん初めて見たのですが(あまりふだん映画を見ないので…)、いい男ですねぇ♡
そして上にも書きましたが、ミュージカルシーンが多いのにわざとらしさがないんですよね。
すごくクールかつシニカルな感じで描かれてまして、それがまたエルトンが見ていたであろう狂った世界を表現できていたように感じました。
そういう意味では、この映画は感動して涙する感じではないです。
サインで言えば、土+風ふうみ。
客観的でクールなルポルタージュ風です。
(調べたら監督さんが太陽水瓶、月が牡牛か双子で、牡牛なのでは?と感じました。ボヘミアン・ラプソディーの監督さんでもあります)
物語のあらすじ(ネタバレあり)
さて物語のざっくりとしたあらすじですが…
恵まれた音楽の才能と環境。
でも両親は不仲で特に父親からは邪険に扱われている。
おとなになってからの音楽活動も同じような構図がたびたび生まれます。
華々しく凄まじい音楽活動の成功の裏に、愛する人からの裏切りであったり、信頼する人との別れであったり。
そのバランスの悪さがやがてエルトンの精神状態を蝕んでいきます。
その結果、アルコール依存、薬物依存、セックス依存、買い物依存…と依存症のオンパレード。
彼は更生施設に駆け込みます。
エルトン・ジョンのホロスコープ
私は1998年に彼が来日したときのドームコンサートに行っています。
このときはビリー・ジョエルとのジョイントライブ。
音楽関係の仕事が多かった同業の知人からもらった招待チケットで、関係者席だったのでアリーナの前の方で見たのを覚えています。
私のエルトン・ジョンの音楽についての印象は、「まじめておかため、キレイで整ってる」というもの。
私は土サイン天体多いのですが、音楽に関しては火のサインで楽しんでいるため、正直なところエルトンの音楽に響くものはありませんでした。
しかし今回この映画を見て、すごく感じたのは、土と火の葛藤です。
私の中にも同じ葛藤があるので、なんというか、見てていたたまれない部分が多くありました。
ということでここでチャートを見てみましょう。
映画の最中は、月は乙女かなと思って見てました。
結構周りに振り回されているというのと、作る音楽が土臭いからです。
また、土星や冥王星が月にハードアスペクトではないかとも思ってました。
周りの人との愛情の育み方が、こだわりが強く、満足度が低いからです。
よく考えると、彼の年代で月乙女で冥王星ハードにはならないですね。
実際のチャートを見てみると、月は牡牛で獅子土星、冥王星とスクエア。
お父さんとの関係性の悪さがわかります。
またどんな愛情を受けても本人の感受性が麻痺してしまってる感じもします。
愛情に対する飢餓感は全編通じて描かれているのですが、そのひとつがこの月と土星冥王星のハードアスペクトですね。
ハウスも4-8ハウスで心に関係するハウスなので、余計に安心できる場所を永遠に求める感じがします。
もうひとつは、いけだ笑み先生がおっしゃるところの「アセンダントの病」。
アセンダントは射手で柔軟宮です。
支配星は木星がサインは蠍。
愛する人との一体化を望んでいます。
というか、愛する人との一体化ができなければ死ぬ! くらいの勢いです。
それがアセンダントの病なのです。
アスペクトは取れていませんが、牡牛の月や獅子の土星、冥王星と対立する位置にあり、さらに過剰に愛情を求める形になっています。
さらにはディセンダント上には双子天王星があり、常にパートナーとの突然の別れがあります。
また天王星的変人に振り回される形です。
その天王星は魚の火星とスクエアで、彼のキレやすいキャラクターと、恋愛がうまく続かないような形になっています。
1970年代にゲイだと公表した人なのですが、後に女性とも結婚しておりバイセクシャル。
しかしなんというかセクシャリティの問題というより「とにかく自分と一寸も違わない愛情を寄せてくれる人」というのにこだわった感じがします。
獅子の土星・冥王星のコンジャンクションと、魚火星と双子天王星のスクエアは、どちらも底しれぬ行動力と破壊衝動につながっており、心の平穏とか安定したパートナーシップになかなか到達できません。
(結果的に彼と長く続いている人、彼のプライベートのパートナーや、ビジネス上のパートナーであるバーニーが魚木星の人々で、火星天王星のハードを和らげてくれる星を持っています)
音楽活動のほうは、牡羊太陽なのでしょう。
ステージの上で派手なパフォーマンスをしたり、派手な衣装を着たりするのは、火のサインならでは。
月にはハードアスペクトをとっている獅子の土星・冥王星も、太陽にはトライン。
天秤の海王星もオポジションで入っていて、芸術活動で広く人気が得られそうな形です。
変わった形のメガネや被り物を衣装に取り入れていますが、頭をつかさどるのが牡羊なので、すごく牡羊らしいこだわりなのではないかと思います。
土と火のサインの葛藤
土と火の葛藤とはどんなものでしょうか。
火というのは一過性というか、一瞬の盛り上がりです。
固定の火である獅子であっても、一瞬たりとも同じ形をキープしていることはありません。
衝動で華々しく盛り上がるのが火の矜持です。
土はそれを冷めた目で見ています。
土から見れば火のやってることはバカバカしく見えるし、ムダな感じがするのです。
それを自分の中で繰り返しているので、どんどん虚しい感じがしてきます。
成功してて、だからなんなの。
中身は空っぽだよ。
というような感じがすごく理解できて、個人的になかなか身につまされるお話でした。
ここから先はネタバレあり!
物語の終わりは
家族や友人、ビジネスの関係者ひとりひとりと心のなかで対話していくシーンはすごく良かったです。
「親から愛情を与えられてない」という気持ちでいっぱいのまま育ってきているのに、最終的には「僕は扱いづらい子だったよね」と言っているのは、なかなかすごいと思いました。
ほんの偶然から出会ったバーニーと長い年月を経て、更生施設でもまた「曲をつけてくれよ」と歌詞を渡されるシーンも良かったです。
エンドロールでは、各種依存症を克服したその後の様子がスライドショーで流れました。
(買い物依存症だけ克服できてないとのこと)
現在のパートナーに出会って同性婚をし、後に子供も授かっていることなどが出てきて、「良かったね…ホロリ」となってしまいました。
親戚のおばちゃんか!
物語は、彼が幼い彼を抱きしめるところで終わります。
インナーチャイルドの癒しですね。
結局、彼が求めるものは自分自身で与えるしかない。
そんな感じがしました。