向真希 本日はお休みします！
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（先週水曜の続き）ひたひたのシロップに浮かぶ褐色でピンポン玉程度の球状の何か。缶のふたには白い結晶が大量に付着していた。
これが世界一甘いと言われているインドのデザート、グラブジャムーンとの初対面であった。
香りは特にない。スプーンでシロップごとすくいとり、口に入れる。歯に当たった傍から染み込んだシロップが口に広がる。甘さは、確かに甘い。甘いのだがそれ以上に香辛料の香りが強い。
クミンやカルダモン系なのだろうか、爽やかで奥深い味わい。砂糖には多少造詣があるが、スパイスについてはそれほど詳しくないため、あまり具体的な名前を挙げられないのがもどかしいが、ただ甘いだけじゃない。グラブジャムーンという甘味は。
その後シロップも飲んでみたのだが、濃厚な甘さとスパイスの風味が美味しく、無糖のお茶に少したらして飲むと薬用の甘茶的な味になった。
分かりやすく言えばインド風ドーナツのシロップ漬け。そんなデザートであるグラブジャムーン。前評判で甘い甘いと聞いていた分ハードルが高くなりすぎたのか、意外と普通に食べることができた。というより美味しかった。
周りにいた甘党の方々の感想も「イケる」という評が多かった。甘党ではない方は一口だけ食べて放置していた人もいたので、甘いは甘いのであろう。
確かにシロップに溶けきらない砂糖が缶の上部に析出しているということは、飽和状態の砂糖液である以上、そのシロップをたっぷりと吸い込んだ丸いドーナツは甘い。
しかし、インドの神秘、スパイスの力によって爽やかさが加味され、エスニックなデザートという枠に十分収まる味わいになっているのである。
とはいえ自分が食べたグラブジャムーンはまだ１種類。缶入りのものだけである。この缶のものはそれほど甘くなかった可能性は高い。
甘党の他の友人からの情報によると、都内某所のインドレストランで出てきたグラブジャムーンは完食できないほど甘かったとのこと。
世界にはまだまだ見知らぬ甘いものが無数に存在している。同じ名前でもバリエーションは数限りなく、いつまでも、どこまでも、極めたなどと言えないような奥深い世界である。
日本の甘味に関しても知らないことだらけである。日々生まれるコンビニスイーツまで含めるのであれば、情報を網羅することなど不可能。
一期一会、その時々に目の前にある甘いものに感謝しつつ、今年も一歩一歩前に進んでいきます。
（桜田ケイ）
