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バレンタインのチョコレート商戦が激化している。
百貨店でフェアを行うのはもちろん、いたるところがチョコである。
駅のちょっとしたスペースがあれば、チョコ。
ショップのエントランス付近は基本的に、チョコ。
特別なものから定番の限定ラッピングまで、チョコ。
飲食店、カフェなどは特にスペシャルメニューは、チョコ。
バレンタインデー当日は木曜日なので、今日明日がピークと思われる。
この過熱化する商売熱の先に何があるのか。
そう。期日後の安売りセールである。
クリスマスケーキのように、節分の海苔巻きのように。
当日を過ぎたら、何故か価値が下がっていく。
たった１日で、それほど風味は損なわれない。
それでも、おそらく今週末は、チョコの安売りが行われるだろう。
さすがに有名ショコラティエのものは、出てくることはないはず。
定番チョコの限定ラッピングや、ちょっと乗っただけのチョコ。
そんなあれこれが、安く売られていくことになる。
賞味期限は生のものよりは長いため、そこそこ持つのは確か。
しかし、ただバレンタイン当日を過ぎたというだけで安く売られるチョコ。
味も変わらず、パッケージも可愛らしかったり美しかったりするチョコ。
それが失われていくのを黙って見ているなんてことができようか？
いや、できまい。
バレンタイン当日まで、特に１月後半は、自分のためのチョコ探しを。
バレンタイン当日を過ぎたら、お疲れ様の気持ちを込めてチョコ探しを。
チョコに貴賤がないように、たった数日で何も変わらない。
だからこそ、期日を過ぎたチョコは、尊く、せつない。

（桜田ケイ）