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ボーロについて、一度立ち止まって考えてみたい。
ボーロ。たまごボーロやミルクボーロ、そばボーロなど多種多様なボーロが存在している。
ボーロを子供のころに食べていない人はいるのだろうか。
ボーロはそのぐらい、誰もが口にしたことがあるお菓子である。
ボーロは誰もが知っていて、誰もが食べたことがある。
それでも、あなたは一体ボーロの何を知っているのだろうか。
そもそも、ボーロとは一体何なのだろうか。
ボーロはポルトガル語由来のお菓子らしい。
ボーロは南蛮焼き菓子に分類されるらしい。
この2点ですら、たった今初めて知った事実である。
自分はボーロについて、あまりにも無知だったと言わざるを得ない。
ボーロに育まれたといっても過言ではないのに。
16世紀には日本に存在していたというのに。
知らなかった。
ボーロのこと、何も知らなかった。
大人になってからボーロをあまり食べていない。
子供のころはあれほど口にしていたボーロ。
いつしか思春期を迎え、水分を奪われる様を嫌いボーロとは距離を置く。
いや。大人になりたいという気持ちがボーロを遠ざけたのかもしれない。
今となっては、本当にたいした理由はなかった。
ただ、ボーロをあまり食べなくなったという事実は変わらない。
ボーロから離れ、気がつけば大人といって差し支えのない年齢に達している。
今、改めてボーロと向き合うべきなのかもしれない。
そっとボーロを手に取り、口に含む。
口からは水分がみるみる失われていく。
しっとりと、さらりと、ボーロは口いっぱいに広がる。
ボーロは形を変え、身体のありとあらゆる場所に届いていく。
粉、砂糖、卵、牛乳。材料は至ってシンプル。
同じ材料から様々なお菓子を作り出すことができる。
その中で、ボーロの立ち位置はとても特別なものである。
ボーロについて語る言葉は、今の自分には見つけられない。
立ち止まり思い返し食しても、ボーロのことを何も理解できない。
きっとボーロは理解など求めていないのかもしれない。
だからこそ、誰にでもボーロは優しく寄り添うのかもしれない。
(桜田ケイ)