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桃から産まれた桃太郎はおばあさんからきびだんごをもらい旅立ち、犬と猿と雉にきびだんごを与えお供にして、鬼が島に渡った。
昔話の「ももたろう」誰もが知っているお話の中に出てくる甘味、きびだんご。
桃太郎といえば岡山県。岡山の銘菓にはもちろんきびだんごがある。それは丸い。だんごだから、丸い。当たり前の話である。
だんごといえば丸いもの。誰もが当然のように思っている。だからこそ、その一形態であるきびだんごも当然のように丸いものであろう。
だがしかし、北海道で生まれ育った者たちにとって、きびだんごは丸いものではない。短冊のような形状の黒っぽくて柔らかくオブラートに包まれているもの。それこそが北海道民にとってのきびだんごである。
北海道のきびだんごは丸くない。むしろ四角い。北海道のきびだんごの包み紙には桃太郎のイラストが描かれている。つまり、北海道民にとって桃太郎がお供に与えたきびだんごは、四角いものとして認識されているのである。
短冊形のきびだんご。その歴史は古く、１００年ほど前から製造され脈々と受け継がれている。
ももたろうさんももたろうさん、お腰につけたきびだんご、ひとつ私にくださいな。
歌のフレーズから喚起されるイメージは全ての人に共通するものではない。
人によって思い浮かべる桃太郎の姿が一定ではないように、きびだんごだって自由にその形状を思い浮かべることができる。
あなたの隣にいる人が思い浮かべるきびだんごは、あなたが思い浮かべるきびだんごとは全く違うものかもしれない。
常識にしばられることなく、多様なイメージを受け入れることで、世界は少しだけ平和に近付いてゆく。
（桜田ケイ）
