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毎年この時期だけ、特別なカタログが様々なところで配布されます。それは、「クリスマスケーキのカタログ」です。
洋菓子店のみならず、百貨店やスーパーや大手量販店など、ケーキを扱うところであればカタログは作成され配布されています。それぞれに特徴がありますが、特に大手百貨店のカタログはケーキの美しさのみならずデザインにもこだわりがあり、見ていて飽きません。
去年は１０冊以上のカタログを集め、毎日眺めて幸せな気持ちに浸ったものです。今年は少しバタバタと忙しいため、カタログとしては４冊ほど。それでも十分に幸せを感じています。
ここ数年クリスマスケーキは同じところに頼んでいるのですが、今年はタイミングが合わず注文に出向くのが遅れてしまいました。
そんなある日、カタログを慎重に検討した結果ひとつのケーキを心に決め、店舗に向かいました。
クリスマスケーキを注文するため特設されたカウンターに出向き、今年の幸せを注文しようとしたところ、数あるケーキの中で唯一そのケーキだけが注文数に達してしまい、品切れとなっていたのです。
第２第３の候補も当然考えていたのですが、品切れの一言を聞いた時の絶望感は筆舌に尽くしがたく、今でもその時のことを思い返すと目頭が熱くなってしまいます。
カウンター前で軽く動揺したものの、なんとか第２候補のケーキを注文した帰り途のことはあまり覚えていません。
それから数日が経過し、こう思い至りました。「自分の選択は間違っていなかった。みんなが注文したいと思うような特別なケーキを選んだのだから」と。
自ら食べることは叶わなくても、他のそのケーキを選んだいわば嗜好を共にする同志が食べるのだから問題ない。むしろ自分が食べる以上に大切な気持ちで食べてくれるはず。
今年のクリスマス。我が家にやってくるケーキを幸せの中食べる時、同時に我が家にやってこなかったあのケーキが様々な場所で食べられる幸せも感じることができる。
それはプレゼントを分け合う優しい気持ちにも似た、幸せなクリスマスの過ごし方なのかもしれません。
（桜田ケイ）
