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仙台銘菓「萩の月」。一地方の銘菓とはいえ日本国内に知らない人はいない銘菓の中の銘菓です。
ふわふわのスポンジ生地でとろとろ濃厚なカスタードクリームを包む。それをセロファンで包み、袋に入れ、個別の箱に入れた上に大きな箱に収納。
一見過剰にも見えるこの包装は、中心部にあるカスタードクリームを守るために他ならないはずです。それほどに尊いカスタードクリームをお土産として気軽に買うことができるこの日本は本当に素晴らしい国だと思います。
先日、海外にお土産として「萩の月」を持って行ったのですが、空港の荷物を預けるカウンターでスーツケース内に割れ物が無いか聞かれた際に「萩の月が入っています」と答えたところ、割物注意のタグをつけてくれました。国際的にも「萩の月」は貴重品として扱うに値するお菓子なのです。
「萩の月」は仙台のお菓子です。ですが、日本全国には「萩の月」的なお菓子がたくさんあります。北は北海道の札幌タイムズスクウェアから南は鹿児島のかすたどんまで。東京だけでも数種類あったはず。それほどまでに日本人はカスタードクリームをスポンジケーキに包まずにはいられない生物なのです。
牛乳と共に食べる「萩の月」。冷凍庫で凍らせて食べる「萩の月」。包装を全部解いて一気に数個食べる「萩の月」。その楽しみ方のスタイルも多岐にわたっています。
気軽に買えるお土産の１ジャンルとしてしっかり定着した感のある「萩の月的なお菓子」。これからも日本全国で生まれては消えてゆくことでしょう。そしてその中で決して薄れない元祖「萩の月」。宮城県が日本に、いや世界に誇ることのできる宝物なのです。
たかがお土産、されどお土産。それぞれの土地にはそれぞれの土地にあった農産物や魚介類などがお土産として重宝されますが、カスタードクリームとスポンジという日本のどこででも手に入る材料でこれほど特徴のあるものを作り出すこともできるのです。
人もひとりひとり、違った特徴を持っています。それは特別な才能である必要は全くなく、自分がいいと思えるポイントを自分の中に見つけることさえできれば、他の人にとってどんなにありふれたように見えるものでも、それは誇るべきあなたの宝物です。スポンジで包まれたカスタードクリームのように、あなたの心の中で輝いているのです。
