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ルバーブという名前を、ここ数年聞く機会が増えた。
子供のころは全く知らなかった存在である。
ルバーブ。日本語では大黄（だいおう）と呼ばれる野菜である。
野菜という区分なのに、主に目にするのはジャムである。
ルバーブのジャム。
ちょっとした避暑地や観光地で見かけたことがある人も多いのでは。
ルバーブ。野菜に属するわりに、ジャム以外で見たことがない。
謎の植物。ルバーブ。
それは果実ではない。
それは一見ふきのようにも見える。
それは漢方薬の原料でもある。
その葉は食用には適さない。
それに含まれる成分は下剤にもなる。
まるで正体の分からないルバーブ。
しかしながら、ルバーブのジャムは美味しい。
ほどよい酸味は他の果物のジャムと一線を画す。
野菜という位置づけであるルバーブ。
ジャムとして人の前に現れるルバーブ。
わずかな矛盾を内包しつつも一部の人達に強く支持を受けるルバーブ。
まだまだ知名度はそれほど高いとは言えない。
野菜なのか果物なのかすら、知らない人もいる。
それでもルバーブは着実に、一歩ずつ、前に進んでいる。
野菜でありながら、ジャムに身をやつして。
ルバーブにとっての幸せがどこにあろうとも、
野菜という括りから抜けることはできない。
どんなにジャムとして広がろうとも、
ルバーブは頑なに野菜である自分を譲らない。
それが、ルバーブの流儀であり、ルバーブらしさでもある。

（桜田ケイ）