クラフト、アディ―、石川源晃、松村潔、占星術会の名だたる巨匠が研究してきたハーモニクス占星術を、神谷充彦氏がすぐに実占に使用できるように、系統立てて執筆されたのが本書です。

ハーモニクス占星術は、自分の内部の中になすべきこととして発芽する天体のコンジャクションを解析して、人生の流れを掴む技法なのですが、自分の発芽コンジャクションがたまたまそばにいた人のネイタルとヒットしてしまい、その人に自分の生きる意味の衝動を投影してしまい、現実の生活で接点がなくても何年もその人のことが頭から離れなくなるというような事象が実例でよく出てくる占術です。その他、創作活動をする人にもテーマが出てきたりもします。技法としてオーソドックスではないのですが、内側から湧き出るテーマがどういうもので、それはいつスタートして、いつばらけるのかということがわかると、リーディングに有用な場合もあるので、長く人気がある手法なのです。

さて、本書は、ハーモニクス占星術を具体的に読みこなすための実用書です。必要な要素が多すぎず少なすぎず、ちょうどよく書かれています。隅々まで丁寧なのに読みやすいのは、神谷氏が「自分の書きたいこと」と「必要とされていること」を分けて考えて書ききっているからだと思います。こういうある意味マニアックな技法の本で、こういうふうに構成できるのは見事としかいいようがありません。

またハーモニックを読むうえで、必要な占星術の基礎知識に関しても1章分書かれているので、他の占星術の基礎教科書をいちいち取り出す必要もなく、効率が良い作りになっています。

さらにハーモニクスの天体の組み合わせに関する記述は、アスペクト辞典としても使えます。本のレイアウトや活字も整理されていて、とても読みやすいので、難しい?と敬遠する人にこそ手に取って欲しい1冊です。

説話社 2800円+税

説話社 2800円+税