「愚者」
12:00~18:30 三上牧さん
18:30~20:30 岩田麻里さん

PC破損で、お店日記の更新ができていない間、タロット講座を3つくらい同時にやっていたのですが、そのうちトナカイでやった講座の練習で、ちょっとおもしろいことがありまして、その解説をお店日記で書いていい?と当人たちに聞いたら、いいですよーとのことだったので、やっと書きます。
大アルカナの説明後、3枚引きで読む練習をしたのですが、そのときは共通の質問でやってもらいました。「私とタロットの関わりは?」という質問、3枚引きなので過去・現在・未来です。ふたりの方が3枚目の未来のところに愚者を出しました。うわあ、おもしろいとウキウキ。ふたりの未来は「私とタロットの関わりは?」という、講師の私が想定した「輪」の外側へ外れたのです。質問の中には「世界」が閉じ込められています。閉じ込められているのは質問者の想定です。質問の中には、質問の意図があるのですが、つまりこの件では、タロットを習いにきているわけですから、過去にはタロットとの出会いの動機があり、現在には私の解説を4時間近く聴いた直後であるという事実との関わりがあります。そのあたりは質問者の意図の内側に「なんとなく予想はつきます」という形で存在できている。でも未来は、質問者の意図を超えて、正解でも不正解でもない「お話の内側にはない」という意味で、外側に出てしまった。たぶん「愚者」を引いたふたりの方のタロットとの関わりの未来は、質問者であるわたしとご本人たちの現状の思惑の中には、まったく存在しない方向に投げ出されるのでしょう。一番、可能性があり、おもしろい展開ではないかと、少し興奮してしまいました。たとえばトナカイ運営において、わたしの運営モチベーションを上げる存在は「愚者」の存在です。わたしの思惑とか流れの外にいるメンバーがいると、めちゃめちゃ燃え上がる。具体的にはキャメレオン竹田さんとか、宮琴都音ちゃんとかですね。まったくなにがどうなるのかわからない、予測外の存在でした。で、私の思惑の内側にいる限り、それは思惑のどこかに位置するしかないので、どういう展開になっても、わたしは驚かないし、うんうん、そうよねとうなづくばかりのルーチンワークです。もちろん内側にいるルーチンワークさんたちが現実でお店を支えてくれているのですが、情熱や動機を支えるのは、わたしの場合いつも「愚者」なのです。別の場所に生息して、別の場で「愚者」になっちゃったから、うちに来たたまちゃんとかは、けっこう想定内ですよ。サツキちゃんなんかは親戚の子預かるレベルだったしねえ。最近、下北トナカイの有元ちゃんがわたしの中で「愚者」化しつつあって、なんとか自分の「世界」の範疇でみようとするんだけど、どんどん外れていくので目が離せない。わたしの「世界」は、他の「世界」と会いたくて、そのつなぎというか回路になるのが「愚者」なのではないかと思っているのです。
カードの意味は「既知外」「質問の枠の外にいる」「始まりの輪の中にいない」「無用な質問」これは正位置もリバースも同じです。外側なので上も下もない。ライダース版の正位置は、あのままうっかり歩き続けると水星の領域におっこちて、こちら側の認知の世界に堕落する。リバースは海王星の流域に吸い込まれ、もっとも手の届かない勇者の物語としてイメージ化されて堕落する。程度のことばにもできないことはないけれど、してもあんまり意味がないです。仲間はずれになっているのではなく、仲間はずししてる。わたしたちはいつも「愚者」に置いていかれるのよ。(店長・まつい)